「整体を受けたあとは楽になるのに、何日かするとまた腰が痛くなる」
「調子が良くなったと思ったのに、仕事をするとまた腰が張ってくる」
こんな経験はありませんか?
施術によって身体が動きやすくなったり、腰の緊張がやわらいだりすると、痛みが軽くなることがあります。
ところが、その後の日常生活で以前と同じ身体の使い方を続けていれば、再び腰に負担が集まってしまうことがあります。
慢性的な腰痛では、「痛みを減らすこと」と「良い状態を保てる身体にすること」は、少し違う問題です。
今回は、腰痛が一度楽になっても戻ってしまう理由と、良い状態を定着させるために大切なことについて解説します。
「楽になった=身体の問題が全部解決した」とは限りません
腰が痛いときには、腰まわりの筋肉が硬くなっていたり、動きにくくなっていたりすることがあります。
施術によってその緊張がやわらぎ、股関節や背中などが動きやすくなると、
「腰が軽くなった」
「前より動きやすい」
と感じることがあります。
これは大切な変化です。
ただし、その時点で身体の使い方まで自動的に変わっているとは限りません。
たとえば、
・立つと骨盤を前へ押し出す
・前かがみになると腰ばかり曲げる
・歩くときにお尻や体幹をうまく使えない
・股関節が使いにくく腰で動きを補う
といったクセが残っていると、日常生活に戻ったときに再び同じ場所へ負担が集まります。
つまり、身体は変わったのに、使い方が以前のままという状態です。
これが「施術後は楽なのに、また戻る」という一つの理由になります。
身体は普段使っている動きを覚えています
身体の使い方は、一度教わっただけですぐに変わるものではありません。
たとえば、長年骨盤を前へ押し出すように立っていた人に、
「骨盤を前に出さないように立ちましょう」
と伝えても、その場ではできても、数分後には元の姿勢へ戻ってしまうことがあります。
これは意識が足りないからではありません。
長年繰り返してきた立ち方や歩き方が、その人にとって「いつもの動き」になっているからです。
車の運転でも、最初はハンドルやペダル操作を一つずつ意識しますが、慣れてくると考えなくても動けるようになります。
身体の動きも同じです。
だからこそ、良い身体の使い方も繰り返して、身体に覚えさせる必要があります。
立ち方と腰への負担については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→「立ち方で腰痛は変わる?|骨盤を前に出して立つクセと腰への負担」
動くようになっても「支えられない」と腰は頑張ります
身体が硬いからとストレッチをして、股関節や背中が動きやすくなった。
これはとても大切です。
しかし、動けるようになった身体を支える筋肉がうまく働かなければ、腰はまた頑張ることになります。
たとえば股関節が大きく動くようになっても、その動きをお尻や体幹でコントロールできなければ、立ったり歩いたりするときに腰で身体を安定させようとすることがあります。
そこで必要になるのが、「動かす」だけでなく「支える」ことです。
お腹、お尻、股関節まわりなどが必要なタイミングで働くことで、身体全体で負担を分散しやすくなります。
腰痛と筋力・体幹の関係については、
「腰痛には筋トレが必要?|支える筋肉が働かないと腰が頑張り続ける理由」
でも詳しく紹介しています。
「筋肉を鍛える」と「日常で使える」は違います
運動をして筋肉が強くなっても、その筋肉を日常生活で使えていなければ、腰への負担があまり変わらないこともあります。
たとえばブリッジではお尻を使えるのに、
立ち上がると腰を反らす。
スクワットではきれいに動けるのに、
物を拾うときには腰から曲げる。
こうしたことは珍しくありません。
運動ができることと、実際の生活の中で使えることには、もう一段階あります。
そのため当院では、運動そのものをゴールにはしていません。
運動で覚えた身体の使い方を、
・立つ
・歩く
・しゃがむ
・立ち上がる
・物を持つ
といった日常動作へつなげていくことを大切にしています。
良い状態を定着させるために必要な3つのこと
腰痛が楽になった状態を保ちやすくするためには、大きく3つの視点があります。
① 動ける身体にしておく
股関節、胸椎、足首などが動きにくいと、その分を腰が補いやすくなります。
たとえば振り向くとき。
本来は足首・股関節・背中なども一緒に動きます。
ところが、それらが動きにくければ、腰だけを大きくひねることになります。
まずは身体全体が動ける状態をつくることが大切です。
腰が痛いのに腰以外を見る理由については、
「腰が痛いのに腰以外を見るのはなぜ?|股関節・胸椎・足首と腰痛の関係」
をご覧ください。
② 身体を支えられるようにする
動くだけでなく、その動きを支えることも必要です。
特に、
・体幹
・お尻
・股関節まわり
などがうまく働くことで、腰だけに負担が集中しにくくなります。
体幹についても、単純に腹筋を強くすればいいわけではありません。
腹横筋・横隔膜・多裂筋・骨盤底筋群などが連動し、身体を支えながら動けることが大切です。
体幹ケアについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
→「体幹ケアとは」
③ 日常生活の動きにつなげる
ここが「定着」で特に大切な部分です。
せっかく身体が動きやすくなり、支える力がついてきても、以前と同じ立ち方・歩き方・身体の使い方に戻れば、腰には再び同じ負担がかかります。
そのため、「この運動をやってください」だけで終わるのではなく、
「立つときはこう使う」
「物を持つときはこう動く」
「歩くときはここを意識する」
というように、実際の生活の動きへ落とし込んでいくことが重要です。
ねこひげ整体院の4ステップ
ねこひげ整体院では、慢性的な腰痛に対して、
ゆるめる → うごかす → きたえる → おしえる
という4つのステップを大切にしています。
ゆるめる
使いすぎて硬くなっている筋肉を整え、動きやすい状態をつくります。
うごかす
股関節・胸椎・足首など、動きにくくなっている場所の動きを引き出します。
きたえる
体幹やお尻など、身体を支える筋肉を使えるようにしていきます。
おしえる
立ち方・歩き方・日常動作などに落とし込み、良い身体の使い方を繰り返して身につけていきます。
当院の施術の考え方についてはこちらでも詳しく紹介しています。
→「当院の施術について」
セルフケアは「治すための宿題」ではありません
当院では、状態に応じてセルフケアをお伝えすることがあります。
ただし、「毎日これをやらないと治りません」という考えではありません。
セルフケアの役割は、施術で変わった身体を、日常生活の中でも使えるようにすることです。
施術を受ける時間は、1週間の中ではごくわずかです。
一方で、立つ、歩く、座る、仕事をするなど、身体を使う時間は毎日何時間もあります。
だからこそ、施術だけで身体を変えようとするのではなく、日常生活の中でも少しずつ身体を使っていくことが、良い状態を保つためには重要になります。
調子が良くなってからが、本当のスタートになることもあります
腰が痛いときは、「とにかくこの痛みを何とかしたい」という気持ちになるのは当然です。
しかし、痛みが少なくなってくると、そこからできることが増えてきます。
動かせる範囲が広がる。
運動ができるようになる。
立ち方や歩き方を練習できる。
つまり、痛みが減ってからこそ「戻りにくい身体づくり」ができるとも言えます。
そこで施術を終えてしまうのではなく、「良くなった状態をどう身体に覚えさせるか」まで考えることが、慢性腰痛では重要です。
施術で“変える”。運動で“定着させる”。
ねこひげ整体院が大切にしている考え方です。
施術では、
硬くなった場所を整え、
動きにくかった関節を動かし、
身体を変えるきっかけをつくります。
そして運動では、
その身体を支え、
実際に使い、
日常生活の中で繰り返すことで、
良い状態を身体に覚えさせていきます。
施術だけ。
運動だけ。
どちらか一方ではなく、
施術と運動を組み合わせながら、腰に頑張らせすぎない身体をつくっていく。
それが、ねこひげ整体院が考える慢性腰痛への向き合い方です。
腰痛が戻るのは「また悪くなった」だけではありません
一度楽になった腰痛が戻ると、「治っていなかったのかな」と不安になる方もいます。
もちろん症状の変化を確認することは大切ですが、身体が変化していく途中では、以前の身体の使い方へ戻ることで、一時的に負担が増えることもあります。
そこで、「また痛くなったから最初からやり直し」と考えるのではなく、
何が戻ったのか。
動きなのか。
支える力なのか。
立ち方なのか。
日常動作なのか。
を確認することが重要です。
原因を一つずつ確認しながら、良い状態をつくる → 使う → 定着させるという流れを繰り返していきます。
腰痛を一時的に楽にするだけでなく、
「以前より動ける」
「長く立っても疲れにくい」
「また腰が痛くなるのが怖くなくなった」
そんな身体を目指していきましょう。
