「座っているときは大丈夫なのに、立っていると腰がつらい」
「長く立っていると、だんだん腰が張ってくる」
そんな方の立ち方を確認すると、骨盤を身体の前へ押し出すように立っていることがあります。
本人としては普通に立っているつもりでも、骨盤が前へ出て、上半身が少し後ろへ残るような姿勢になっていることがあります。
このような立ち方が必ず腰痛の原因になるわけではありません。
ただ、同じ立ち方が長時間続いたり、身体を支える筋肉がうまく働いていなかったりすると、腰や背中など一部の場所に負担が集中しやすくなることがあります。
今回は、骨盤を前に出して立つクセと腰痛の関係について、身体の使い方という視点から解説します。
「良い姿勢=まっすぐ立つ」だけではありません
腰痛予防というと、
「背筋を伸ばしましょう」
「胸を張りましょう」
「骨盤を立てましょう」
と言われることがあります。
もちろん姿勢を意識することは大切ですが、見た目だけをまっすぐにすればいいわけではありません。
大切なのは、その姿勢を身体のどこで支えているかです。
一見きれいに立っていても、腰や背中の筋肉ばかりで身体を支えていれば、その場所には負担がかかり続けます。
反対に、多少姿勢に個人差があっても、足・股関節・お尻・体幹などを使って身体全体で支えられていれば、一か所だけに負担が集中しにくくなります。
つまり、姿勢を見るときは「形」だけではなく、どうやってその姿勢を維持しているのかまで考えることが大切です。
骨盤を前に出して立つとは?
立っている人を横から見たときに、骨盤や股関節の位置が身体の前方へ移動し、上半身がその後ろへ残るような立ち方があります。
いわゆる「スウェーバック」と呼ばれる姿勢に近い立ち方になることもあります。
ただし、骨盤を前に出しているからといって、必ず骨盤が前傾している、あるいは後傾しているとは限りません。
骨盤の傾きや背骨の形には個人差があるため、「骨盤が前に出ている=この形」と決めつけることはできません。
ねこひげ整体院で見るのは、骨盤の角度だけではなく、
・頭や胸郭の位置
・骨盤の位置
・股関節の位置
・膝の伸び方
・足裏への体重のかかり方
・お腹やお尻が働いているか
といった身体全体のバランスです。
なぜ骨盤を前に出すと腰が頑張りやすいのか
骨盤を前へ押し出すように立つと、股関節やお尻を使って身体を支えるというよりも、「骨や関節に寄りかかるように立つ」
状態になることがあります。
すると、お尻やお腹など本来身体を支えたい筋肉の働きが少なくなり、その分を腰や背中の筋肉が頑張って支えることがあります。
たとえば、
お尻や体幹がうまく働かない
↓
骨盤を前へ押し出して立つ
↓
上半身を倒れないように腰や背中で支える
↓
腰まわりが張りやすくなる
という流れです。
そのため、「立っているだけなのに腰が疲れる」という方では、腰そのものだけでなく、立ち方や身体の支え方を確認することがあります。
立っているときにお腹やお尻は働いていますか?
立っているだけなら、筋肉はあまり使っていないように感じるかもしれません。
しかし実際には、身体は重力に逆らって立ち続けています。
そのため、
・お腹まわり
・お尻
・股関節まわり
・足まわり
などが適度に働きながら身体を支えています。
ところが、これらの筋肉がうまく使えていないと、身体は別の方法で安定しようとします。
その一つが、腰や背中を固めて立つことです。
以前の記事「腰痛には筋トレが必要?|支える筋肉が働かないと腰が頑張り続ける理由」でもお伝えしたように、大切なのは単純な筋力だけではありません。
「必要なときに、その筋肉を使えるか」という点も重要です。
腹筋を鍛えていても立ち方が変わらないことがある
「じゃあ腹筋を鍛えればいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、腹筋運動をたくさんできることと、立っているときに体幹を使えることは同じではありません。
たとえば、床では腹筋運動ができても、立った瞬間に骨盤を前へ押し出して腰で身体を支えてしまう人もいます。
必要なのは、筋肉を強くするだけではなく、立っているときに身体を支えるために使えることです。
特に体幹では、腹横筋・横隔膜・多裂筋・骨盤底筋群などからなるインナーユニットが協力し、腹圧をつくりながら背骨や骨盤を支える働きがあります。
体幹ケアについて詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。
股関節が使えていないと、立ち方にも影響します
立ち方を考えるうえで、股関節も重要です。
股関節は、骨盤と脚をつなぐ大きな関節です。
立っているときだけでなく、
・歩く
・しゃがむ
・立ち上がる
・前にかがむ
といった日常動作でも大きな役割を持っています。
股関節が動きにくかったり、お尻の筋肉がうまく使えていなかったりすると、骨盤の位置や身体の支え方にも影響します。
すると、腰を反らせたり、骨盤を前へ押し出したりして身体を支えるクセにつながることがあります。
腰が痛いのに股関節や背中、足首なども確認する理由については、
「腰が痛いのに腰以外を見るのはなぜ?|股関節・胸椎・足首と腰痛の関係」
でも詳しく紹介しています。
「正しい姿勢」をずっと続ける必要はありません
ここで気をつけたいのが、「正しい姿勢を作って、それをずっと維持しなければいけない」と考えてしまうことです。
どんなにきれいな姿勢でも、同じ姿勢を長時間続ければ身体は疲れます。
大切なのは、一つの姿勢に固めることではありません。
立っているときも、少し体重を移動する、歩く、座る、姿勢を変えるなど、身体は適度に動いている方が自然です。
そのため当院でも、「この姿勢をずっと保ってください」とお伝えするのではなく、腰だけに頼らず、楽に立てる身体の使い方を身につけることを大切にしています。
自分の立ち方を簡単にチェックしてみましょう
鏡の前で横向きに立ってみてください。
いつものように、力を抜いて自然に立ちます。
そのとき、
・骨盤だけ前へ突き出していないか
・胸を後ろへ反らしていないか
・膝を伸ばしきっていないか
・お腹が前へ抜けていないか
・腰や背中に力が入っていないか
を確認してみましょう。
ただし、一つ当てはまったから「悪い姿勢」というわけではありません。
大切なのは、その立ち方をしていて腰が疲れないか、楽に動き出せるかです。
立った状態から歩き出すときに身体が重い、腰を一度反らさないと動き出しにくい、といった場合には、身体の支え方に偏りがある可能性があります。
立ち方を変えるには「姿勢を意識する」だけでは足りない
骨盤を前へ出さないように意識しても、しばらくすると元に戻ってしまう。
これは珍しいことではありません。
なぜなら、今の立ち方には、
・筋肉の硬さ
・股関節や背中の動き
・体幹やお尻の働き
・長年の身体の使い方
などが関係しているからです。
身体がその姿勢しか取りにくい状態のまま、「まっすぐ立ちましょう」と言われても、長く続けるのは難しいものです。
そのため、ねこひげ整体院では、ゆるめる → うごかす → きたえる → おしえるという流れを大切にしています。
慢性腰痛に対する4ステップについては、「慢性腰痛を改善する4ステップ|その場しのぎで終わらせない整体の考え方」でも詳しく紹介しています。
ねこひげ整体院では立ち方まで確認します
慢性的な腰痛では、施術によって腰まわりが楽になっても、毎日の立ち方が以前と同じなら、また腰に負担が集まることがあります。
そのため当院では、
・腰の状態
・股関節や背中、足首の動き
・体幹やお尻の働き
・立ち方
・歩き方
・日常動作
などを確認します。
「腰が痛いから腰だけを見る」のではなく、なぜ腰が頑張らなければならない立ち方になっているのかまで考えていきます。
当院の施術について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
立ち方は「形」ではなく「使い方」で考える
立ち方と腰痛を考えるとき、
「反り腰だからダメ」
「猫背だからダメ」
「骨盤が前に出ているからダメ」
と、姿勢の形だけで判断する必要はありません。
大切なのは、その姿勢をどこで支えているのかです。
骨盤を前へ押し出して、腰や背中だけで身体を支えているのであれば、身体全体で支えられるように変えていく余地があります。
股関節が動く。
お尻が働く。
体幹が支える。
そして、立った状態から自然に歩いたり、しゃがんだりできる。
こうした身体の使い方を身につけることで、腰だけに頑張らせすぎない立ち方につながっていきます。
姿勢を「正しい形」に無理やり合わせるのではなく、楽に支えられて、楽に動き出せる身体をつくる。
それが、慢性腰痛の立ち方を考えるうえで大切なポイントです。
