「長く立っていると、お尻から足にかけてつらくなる」
「台所に立っていると、片側のお尻や脚が痛くなる」
「信号待ちや立ち話が苦手になった」
坐骨神経痛のような症状がある方から、このようなお悩みを聞くことがあります。
そんな方の立ち姿勢を見ていると、ときどき見られるのが、いつも同じ足を少し後ろに引いて立つクセです。
ただし、「片足を後ろに引いているから坐骨神経痛になる」という単純な話ではありません。
大切なのは、なぜその立ち方の方が楽なのか、そしてそのとき身体のどこに負担が集まっているのかを見ることです。
こんな立ち方をしていませんか?
まず、普段何も意識せずに立っている姿勢を思い出してみてください。
料理をしているとき。歯を磨いているとき。人と話しているとき。レジを待っているとき。
そのとき、いつも右足を少し後ろへ引いていないでしょうか。あるいは左足ばかり前に出していないでしょうか。
さらに、
- いつも同じ脚に体重をかける
- 片側の腰を横へ突き出すように立つ
- 片方の膝だけ強く伸ばす
- 身体がわずかに片側へ傾いている
- 足の位置をそろえると立ちにくく感じる
といった特徴がある方もいます。
多少左右差があること自体は珍しくありません。
人間の身体は完全な左右対称ではありませんし、利き手や利き足、仕事や生活習慣によって使いやすい側もあります。
確認したいのは、その立ち方をいつも同じ側で続け、その側のお尻や脚につらさが出ていないかです。
片足を後ろに引く立ち方が「悪い」とは限りません
片足を後ろに引いて立つと、足の位置だけでなく、骨盤や股関節、上半身の向きも少し変わります。
ただ、それだけで「骨盤が歪んで神経を圧迫する」と決めつけることはできません。
むしろ、「その姿勢の方が楽だから無意識に選んでいる」と考えた方が自然です。
たとえば、片側の股関節が動きにくい。片脚で身体を支えるのが苦手。お尻や体幹で姿勢を保ちにくい。
そうした身体の特徴があると、立ちやすい位置を探した結果として、片足を前後にずらしたり、片側へ体重を乗せたりすることがあります。
つまり見るべきなのは、足の位置そのものより、その姿勢を選んでいる身体の状態です。
左右どちらに体重をかけているかも重要です
坐骨神経痛のようなお尻から脚にかけての症状がある方では、左右の体重のかけ方も確認します。
たとえば、右のお尻や脚がつらいから左へ逃げて立っている場合もあります。
反対に、右脚の方が支えやすいため、いつも右へ体重をかけている場合もあります。
同じ「右側が痛い」という人でも、立ち方は同じではありません。
だからこそ、「痛い側をかばっている」「痛い側に乗りすぎている」と最初から決めず、実際にどう立っているかを見る必要があります。
長時間立ったときに症状が出る方は、どちらの足で身体を支えている時間が長いかを一度意識してみてください。
股関節が動きにくいと立ち方にも影響します
立つという動作には、腰だけでなく股関節も大きく関わっています。
股関節は身体と脚をつなぎ、立つ・歩く・方向を変えるといった動作で働きます。
もし片側の股関節が動きにくかったり、支えにくかったりすると、その側を避けるように立つことがあります。
逆に、動きやすい側ばかりに頼ることもあります。
その結果、左右の立ち方が毎回同じになり、お尻や腰まわりの筋肉の使われ方にも差が出てくることがあります。
坐骨神経痛のような症状がある方では、足の位置だけではなく、左右の股関節がどう動き、どう身体を支えているかを見ることが大切です。
お尻は「硬いか」だけでなく「使えているか」も見る
坐骨神経痛というと、「お尻の筋肉が硬いからほぐした方がいい」と考える方も多いと思います。
実際、お尻まわりに強い緊張を感じる方はいます。
ただし、硬い筋肉が必ず悪いわけではありません。
身体を支えるために、片側のお尻ばかり頑張っている結果として硬く感じることもあります。
反対に、必要な場面でお尻がうまく働かず、腰や太ももの裏など別の場所が補っていることもあります。
そのため、ねこひげ整体院では「お尻が硬いから揉む」だけではなく、立つ・片脚で支える・歩くといった動作の中で、お尻がどのように働いているかも確認します。
坐骨神経痛とお尻の筋肉の硬さについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
体幹で身体を支えにくいと、片側へ寄りかかりやすくなることも
立っているとき、身体はずっと静止しているように見えて、実際には小さくバランスを取り続けています。
そのとき、体幹や股関節まわりが身体を支えています。
もし身体の中心で支えにくいと、片脚を後ろへ引いたり、膝を伸ばし切ったり、腰を横へ出したりして、骨や関節に寄りかかるような立ち方になることがあります。
本人にとっては、その方が楽に感じることもあります。
だから「まっすぐ立ちなさい」と姿勢だけを直そうとしても、長く続かないことがあります。
大切なのは、見た目を無理にそろえることではなく、自然に身体を支えやすい状態をつくることです。
立ち姿勢だけで坐骨神経痛を判断しないことも大切です
お尻から脚にかけて痛みやしびれが出る理由は一つではありません。
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、腰の状態が関係することもあります。
そのほかにも、症状が出る場所やタイミング、歩いたときの変化、座ったときの変化など、さまざまな情報を合わせて考える必要があります。
特に、脚に力が入りにくくなった、しびれが急に強くなった、排尿や排便に異常があるなどの場合は、整体より先に医療機関での確認が必要です。
片足を後ろに引く立ち方は、あくまで身体の使い方を知るための一つのヒントです。
立ち方を意識しても坐骨神経痛がなかなか変わらない方は、股関節・歩き方・身体全体を見る考え方についてこちらも参考にしてください。
自分の立ち方をチェックしてみましょう
一度、鏡の前で普段どおりに立ってみてください。
このとき、最初から足をそろえたり、姿勢を良くしたりしないことがポイントです。
いつもの立ち方で、
- 左右どちらかの足だけ後ろへ下がっていないか
- どちらか一方に体重が偏っていないか
- 片側の腰だけ横へ出ていないか
- 片方の膝だけ伸ばし切っていないか
- 足の位置を変えると立ちやすさが大きく変わらないか
を確認してみてください。
左右差があっても、すぐに直そうとする必要はありません。
まず「自分はこう立つクセがあるんだ」と気づくだけでも十分です。
ねこひげ整体院では立ち方だけでなく歩き方まで確認します
ねこひげ整体院では、立っているとお尻や脚がつらくなる方に対して、足の位置だけを見るわけではありません。
前屈・後屈・身体を横へ倒す動き・ひねる動き、股関節や足首の動き、片脚で立ったときの安定性などを確認します。
さらに、立った状態から歩いてもらい、
左右どちらに体重を乗せやすいのか。
股関節が左右とも動いているか。
お尻を使って身体を支えられているか。
腰や太ももの裏ばかりが頑張っていないか。
といったところも見ていきます。
坐骨神経痛のような症状があるからといって、痛いお尻や脚だけを見るのではなく、立つ・歩くという動作全体から負担が集まる理由を探すことを大切にしています。
反対に、立っているときよりも長く座っているとお尻や脚がつらいという方は、こちらの記事もご覧ください。
ゆるめる → うごかす → きたえる → おしえる
身体の特徴が分かったら、その状態に合わせて進めていきます。
まず、腰・お尻・太ももなど、頑張りすぎて緊張しているところをゆるめる。
次に、股関節や背中、足首など、動きにくくなっている場所をうごかす。
そのうえで、お尻や体幹など、立つ・歩くために必要な部分をきたえる。
最後に、普段の立ち方・歩き方や、その方に合った体幹ケア・運動をおしえる。
目指すのは、左右を完璧にそろえて「正しい姿勢」を作ることではありません。
無意識に片側へ逃げ続けなくても、自然に立って動ける身体を目指します。
まとめ|片足を後ろに引くクセは「原因」ではなく身体からのヒント
立っていると坐骨神経痛のようなお尻や脚の痛み・しびれがつらくなる方では、片足を後ろに引いたり、片側へ体重をかけたりするクセが見られることがあります。
ただし、その立ち方自体を悪者にする必要はありません。
大切なのは、
なぜその立ち方の方が楽なのか。
股関節の動きに左右差があるのか。お尻や体幹で身体を支えにくいのか。片側ばかりに負担が集まっていないか。
そこまで確認していくことで、自分では気づかなかった身体の使い方が見えてくることがあります。
長く立つとお尻や脚がつらい方は、痛い場所だけでなく、普段どんな立ち方をしているかにも一度目を向けてみてください。

