「階段を上ると膝がズキッとする」「下りるときの方が痛くて手すりが必要」「平らな道なら歩けるのに、階段だけがつらい」
このような膝の痛みはありませんか?
階段では、平地を歩くときよりも膝を大きく曲げながら身体を持ち上げたり、下りるときに体重を受け止めたりする必要があります。そのため、膝に何らかの問題がある方では、普段の歩行では気にならなくても階段で痛みを感じやすくなることがあります。
ただし、「階段で膝が痛い=動き方が悪い」というわけではありません。膝関節そのものの状態を確認したうえで、股関節・足首・筋力・身体の使い方なども一緒に見ることが大切です。
今回は、階段で膝が痛くなる理由と、身体全体の動きから見直したいポイントについて解説します。
階段で膝が痛くなりやすいのはなぜ?
階段では、平地を歩くときよりも膝を深く曲げ、片脚で体重を支える時間が増えます。
上りでは身体を上の段へ持ち上げる力が必要になり、下りでは身体が急に落ちないように脚でブレーキをかけながら体重を受け止めます。そのため、「上りはまだ大丈夫だけれど、下りるときの方が怖い」という方も少なくありません。
また、変形性膝関節症など膝関節そのものに変化がある場合も、階段で症状が出やすくなることがあります。
まず大切なのは、「年齢だから」「動き方が悪いから」と一つの理由だけに決めつけないことです。
「軟骨が減っていると言われたから、階段が痛いのは仕方ないのかな」と感じている方はこちらも参考にしてください。
「太ももの前を使う=悪い」わけではありません
階段で膝が痛むと、「太ももの前を使いすぎているのでは」と考えることがあります。
太ももの前にある大腿四頭筋は、膝を伸ばしたり、階段で身体を持ち上げたり、下りるときに身体を支えたりするために必要な筋肉です。
そのため、「太ももの前を使わない方がいい」ということではありません。
見るべきなのは、太ももの前を使っているかどうかだけではなく、股関節や足首も一緒に動き、身体全体で体重を支えられているかということです。
階段で膝への負担が増えやすい3つの動き
① 膝だけで身体を持ち上げようとする
階段を上るときに、膝を強く伸ばすことだけで身体を持ち上げようとすると、膝周辺へ負担が集まりやすくなることがあります。
本来、階段では膝だけではなく、股関節・お尻・足首なども一緒に働きます。股関節が動きにくかったり、お尻の筋肉を使いにくかったりすると、その分を膝周辺が頑張っていることがあります。
ポイントは「膝を使わないこと」ではありません。膝だけに頼らず、股関節も一緒に使えることです。
② 身体が左右へ大きくぶれながら上り下りする
階段で身体を持ち上げたり下ろしたりするときに、膝が大きく内側へ入る、身体が片側へ傾く、片脚だけに強く頼るといった動きが見られる方もいます。
ただし、これを見て「膝が内側へ入るから痛い」と単純に考える必要はありません。
股関節まわりの筋肉、足部の安定性、身体を支える体幹、痛みを避けるためのかばい方など、いくつもの要素が関係している場合があります。
形だけを無理に直すのではなく、なぜその動きになっているのかを見ることが大切です。
③ 足首が動きにくく、身体の移動がぎこちない
階段では足首の動きも必要です。特に、膝を曲げながら身体を前方へ移動するときには、足首がある程度動く必要があります。
足首が動きにくいと、かかとが浮く、身体が横へ逃げる、膝や股関節で余分に動きを補うといったことが起こる場合があります。
以前は「膝をつま先より前へ出さない方がいい」と言われることもありましたが、膝がつま先より前へ出ること自体が悪いわけではありません。
大切なのは、膝だけを無理に動かすのではなく、足首・膝・股関節が無理なく連動しているかを見ることです。
階段で痛いときに意識したい3つのポイント
膝が痛い状態で「正しい階段の上り方をしなければ」と頑張りすぎる必要はありません。
手すりを使ってOK
痛みがあるときに、無理に手すりなしで上り下りする必要はありません。手すりを使うことで身体を安定させ、膝にかかる負担を減らしやすくなります。
「手すりを使うと脚が弱くなる」と考えて我慢するより、まず安全に動けることを優先しましょう。
急がず一段ずつ
勢いをつけて上ったり、ドンッと着地するように下りたりすると、痛みが出やすい方もいます。
まずはゆっくり上り下りし、必要であれば一段ずつでも構いません。痛みを強くしながら交互に上ることが目標ではありません。
「膝の形」だけを気にしすぎない
「膝を前へ出してはいけない」「つま先は絶対にまっすぐ」など、細かい形ばかりを意識すると、かえって身体へ力が入りすぎることがあります。
形を完璧にするより、痛みを強くしない範囲で安定して上り下りできることを優先しましょう。
体重も関係しますが、それだけではありません
階段では片脚で体重を支える場面が増えるため、体重が膝への負担に関係することはあります。
ただし、「体重が重いから階段が痛い」とそれだけで説明することもできません。同じ体重でも、膝の状態や筋力、股関節・足首の動きなどによって症状の出方は違います。
「痩せないと膝は良くならないのかな」と心配な方はこちらも参考にしてください。
筋力が弱いだけとも限りません
階段がつらいと、「脚の筋力が落ちたから、もっとスクワットをしないと」と考える方もいるかもしれません。
筋力はもちろん大切です。膝の状態によっては、大腿四頭筋などを含めた運動療法が行われることもあります。
ただ、筋肉の量だけではなく、その力を実際の動作で使えているかも重要です。
たとえば、イスから立つときは問題ないのに階段だけ痛い、右脚なら安定するけれど左脚では身体が傾く、平地では歩けるのに段差では急に不安定になる、といった場合があります。
このような場合は、筋力だけではなく股関節や足首の動き、バランス、身体の支え方なども合わせて見る必要があります。
イスから立つときにも膝が痛む方はこちらで詳しく解説しています。
ねこひげ整体院では膝だけでなく身体全体を確認します
ねこひげ整体院では、「階段で膝が痛いから、膝だけを施術する」とは考えていません。
まず、どこに痛みが出るのか、腫れはないか、膝をどこまで曲げ伸ばしできるのかなどを確認します。そのうえで、股関節や足首の動き、左右への体重のかけ方、身体を支える筋肉、立ち上がり・歩行・階段などの動作も見ていきます。
必要に応じて、
ゆるめる → うごかす → きたえる → おしえる
という4ステップを基本に身体を見直します。
ゆるめる
膝や太もも、股関節周辺など、動きを妨げるほど緊張している筋肉があれば、まず動きやすい状態をつくります。
うごかす
膝だけではなく、股関節や足首なども含めて動かしやすくしていきます。
きたえる
太ももだけに限らず、お尻や脚、体幹など、身体を支えるために必要な筋肉をその方の状態に合わせて使っていきます。
おしえる
最後は、階段・立ち上がり・歩行など、実際の日常動作へつなげます。必要に応じて、自宅で続けられる運動や身体の使い方もお伝えします。
目的は、膝を使わないようにすることではありません。
膝だけに頼りすぎず、身体全体を使いながら日常生活を続けやすい状態を目指します。
このような場合は医療機関で確認してください
階段での膝痛には、身体の使い方だけではなく、膝関節そのものの問題が関係している場合があります。
膝が大きく腫れている、熱を持って赤くなっている、転倒やひねったあとから強く痛む、膝が引っかかって伸びない・曲がらない、体重をかけることが難しい、痛みが強くなり続けている、といった場合は注意が必要です。
このような場合は、整体やセルフケアだけで判断せず、まず医療機関で状態を確認してください。
以前に変形性膝関節症や半月板損傷などを指摘されている場合も、その診断内容を踏まえて身体を見ていくことが大切です。
まとめ|階段で膝が痛いときは「膝だけ」で考えない
階段で膝が痛くなる背景には、膝関節そのものの状態だけでなく、股関節や足首の動き、筋力、バランス、体重のかけ方、階段での身体の使い方など、さまざまな要素が関係します。
だからこそ、「軟骨が減っているから仕方ない」とも、「動き方さえ直せば治る」とも決めつけないことが大切です。
膝の状態を確認したうえで、身体全体の動きも見直していく。階段を上る・下りるという日常動作を、できるだけ無理なく続けられる身体を目指していきましょう。

