「歩いているときはそれほど痛くないのに、イスから立つ瞬間だけ膝が痛い」
「ソファや低いイスから立つときが特につらい」
このような膝の痛みはありませんか?
イスから立ち上がる動作では、膝だけでなく股関節や足首を動かしながら、身体を前方へ移動させてから上へ持ち上げる必要があります。そのため、膝に痛みがある方にとっては負担を感じやすい動作の一つです。
ただし、「立ち上がり方が悪いから膝が痛い」と単純に考えるのも適切ではありません。変形性膝関節症など、膝関節そのものの状態によって立ち上がりや歩き始めに痛みが出ることもあります。
今回は、イスから立つときに膝が痛くなる理由と、少しでも楽に立つために見直したいポイントを解説します。
変形性膝関節症でも「立ち上がりの痛み」はみられます
変形性膝関節症では、初期の段階からイスからの立ち上がりや歩き始めなど、動作を始めたときに膝が痛むことがあります。
そのため、「身体の使い方を直せば大丈夫」と決めつけず、膝の状態を確認することがまず大切です。
膝の腫れや動かしにくさがある、以前より痛みが強くなっている、階段や歩行もつらくなってきたという場合は、一度医療機関で膝の状態を確認しておきましょう。
立ち上がりは膝だけでする動作ではありません
イスから立つときには、身体を少し前へ移動させ、その後に股関節や膝を伸ばしながら身体を持ち上げます。足首や体幹も含めて、身体全体が連動する動作です。
ところが、膝が痛いと「痛くないように立とう」とするため、無意識に身体の使い方が変わることがあります。片脚へ強く頼ったり、上半身をほとんど前へ移動させず脚の力だけで立とうとしたり、反動を使って一気に立ち上がったりすることもあります。
これらが必ず膝痛の原因になるわけではありません。痛みを避けるために身体が選んでいる動きであることもあります。
大切なのは、形だけを「正しい立ち方」に直すことではなく、今どのように立ち上がっていて、どこに負担がかかっているのかを見ることです。
低いイスほど立ち上がりがつらいことがあります
「ダイニングチェアなら大丈夫なのに、ソファから立つと痛い」という方もいます。
イスが低くなるほど膝や股関節を深く曲げた状態から身体を持ち上げる必要があり、立ち上がり動作は難しくなります。
そのため、膝が痛い時期には無理に低いイスを使わず、少し座面の高いイスを選んだり、厚めのクッションで座面を高くしたりするのも一つの方法です。
これは「逃げ」ではありません。痛みが強い時期に負担を調整しながら、必要な動きを保つための工夫です。
楽に立つために試したいポイント
まず確認したいのが足の位置です。足が身体から遠く離れていると、立ち上がるために身体を大きく動かす必要があります。無理のない範囲で足を少し手前へ置き、身体を前へ移動させてから立つと楽になる方もいます。
上半身もまっすぐのまま立とうとする必要はありません。立ち上がる前に少し身体を前へ移動させることで、重心を足の上へ移しやすくなります。
ただし、「この角度が正解」「両足に必ず均等に体重をかける」といった一つの形を全員に当てはめることはできません。膝の変形や可動域、筋力、股関節や足首の状態によって楽な立ち方は違います。
試して痛みが強くなる動きは無理に続けないようにしましょう。
脚の筋力も大切です
立ち上がりがつらくなると、「動き方の問題かな」と考えがちですが、筋力も重要です。
変形性膝関節症では、大腿四頭筋などを含めた運動療法が行われます。脚の筋肉は、立ち上がる・歩く・階段を使うといった日常動作を支えるために必要です。
ただし、痛みを我慢してスクワットを繰り返せばよいわけではありません。
膝の状態や体力に合わせて、どの程度動かすのか、どんな運動から始めるのかを考えることが大切です。
朝や長く座ったあとにも痛む場合は?
イスからの立ち上がりだけではなく、朝起きた直後や長時間座ったあとにも膝がこわばる方がいます。
その場合、「立ち上がり方」だけを見るのではなく、動き始め全般で症状が出ていないかを確認してみましょう。
いつ痛むのか、少し動くとどう変わるのか、腫れや動かしにくさはないか。こうした情報は、今の膝の状態を考えるうえで重要です。
ねこひげ整体院では立ち上がり動作も確認します
ねこひげ整体院では、イスから立つときに膝が痛い場合も、膝だけを見て判断することはありません。
膝の曲げ伸ばしや筋力だけでなく、股関節や足首の動き、身体を前へ移動できるか、左右どちらかへ強く偏っていないかなどを確認します。また、立ち上がりだけでなく歩行や階段など、ほかの日常動作も合わせて見ていきます。
必要に応じて、ゆるめる → うごかす → きたえる → おしえるという流れで身体を整え、その人に合った立ち方や日常動作、体幹ケアや運動につなげていきます。
目的は「正しい立ち方」を覚えることではありません。今の身体に合った、できるだけ無理の少ない立ち上がり方を身につけることです。
このような症状がある場合は、医療機関を優先してください
次のような場合は、身体の使い方だけで判断せず、医療機関で膝の状態を確認してください。
- 膝が大きく腫れている、熱を持っている
- 転倒やひねったあとから強く痛む
- 膝が引っかかって伸びない、曲がらない
- 体重をかけることが難しい
- 安静時にも強い痛みが続く
- 症状が急速に悪化している
まとめ|立ち上がりの痛みは「膝+動作」の両方を見る
イスから立つときの膝痛には、変形性膝関節症など膝関節そのものの状態が関係することがあります。
一方で、イスの高さや足の位置、身体の移動、股関節・足首の動き、筋力などによっても立ち上がりやすさは変わります。
だからこそ、「年齢だから仕方ない」と諦める必要も、「立ち方さえ直せば治る」と考える必要もありません。
膝そのものの状態を確認しながら、今どのように身体を使っているのかも見ていく。
その両方から、無理なく立つ・歩く・動く身体を目指していきましょう。

