「膝が痛いのは、体重が重いからでしょうか?」「痩せないと膝は良くならないと言われました」
膝の痛みがある方から、このような相談を受けることがあります。
確かに、体重は膝にかかる負担と関係します。特に変形性膝関節症があり、体重が多い方では、体重管理が治療の一つとして考えられることがあります。
ただし、膝の痛みがすべて体重だけで決まるわけではありません。 膝関節そのものの状態に加えて、筋力、股関節や足首の動き、活動量、立ち方や歩き方など、さまざまな要素が関係します。
今回は、「体重を減らさないと何も始められない」と考えてしまう前に、膝の痛みと体重、そして今の身体で見直せることについて整理します。
体重が増えると膝への負担は増えます
立つ、歩く、階段を上る、イスから立ち上がる。私たちは日常生活の中で、膝に体重をかけながら動いています。
そのため、体重が増えれば膝が受ける力も大きくなります。特に長く歩く、階段を上り下りする、イスから立ち上がるといった動作では、体重を支えながら膝を曲げ伸ばしする必要があります。
ですから、「体重は膝の痛みとは関係ありません」と言い切るのも正確ではありません。変形性膝関節症があり、体重が多い場合には、医療機関から体重管理を勧められることもあります。
ただし「痩せれば必ず痛くなくなる」とも限りません
ここが大切なところです。
体重を減らすことで膝への負担を減らせるケースはありますが、体重だけで膝の痛みが決まっているわけではありません。
同じくらいの体重でも、ほとんど膝が気にならない方もいれば、階段だけ痛い方、立ち上がるときにつらい方、長く歩くと痛む方もいます。また、体重を減らしても膝の痛みが残る方もいます。
その場合、「もっと痩せなければ」と体重だけを追い続けるのではなく、膝そのものの状態や筋力、身体の動き方にも目を向けてみることが大切です。
まずは膝そのものの状態を確認する
膝が痛い場合、体重や身体の使い方を見る前に、膝関節そのものにどのような状態があるのかを確認することも大切です。
たとえば変形性膝関節症では、軟骨だけではなく骨や滑膜など関節全体に変化が起こります。そのほかにも半月板や靱帯などが関係して膝が痛む場合があります。
特に、腫れが強い、熱を持っている、膝が引っかかる、転倒やひねったあとから急に強く痛くなったといった場合は、身体の使い方だけで判断せず医療機関で状態を確認してください。
「軟骨が減っていると言われたけれど、それがそのまま痛みの原因なの?」という方はこちらも参考にしてください。
体重以外に見ておきたい「身体を支える力」
膝は単独で身体を支えているわけではありません。
歩くときも立ち上がるときも、股関節・足首・お尻・太もも・体幹などが一緒に働いています。そのため、身体を支える力が低下していれば、同じ体重でも動作が不安定になり、膝に負担が集まりやすくなることがあります。
ただし、「膝が痛いなら、とにかく筋トレをすればいい」という話でもありません。
太ももの前側ばかりが頑張っているのか、お尻が使いにくくなっているのか、股関節や足首が十分に動いているのかなど、その人によって状態は違います。
大切なのは、今どの筋肉が使えていて、どの動作で膝に負担が集まっているのかを確認したうえで運動を選ぶことです。
立ち方や動き方で、負担のかかり方は変わります
体重が同じでも、身体の使い方によって膝への負担のかかり方は変わります。
たとえば、いつも片側へ体重をかけて立っている、イスから立つときに毎回同じ脚へ頼っている、階段で痛くない方の脚だけを使っている、股関節をほとんど使わず膝中心で動いている、といった状態です。
もちろん、こうした動きがあるから「それが膝痛の原因」と決めつけるわけではありません。痛みがあるために、身体が無意識にかばっている場合もあります。
大切なのは、良い・悪いと決めつけるのではなく、今どのように身体を使っているのかを見ることです。
イスから立つときに特に膝が痛む方は、こちらで立ち上がるときの体重移動について詳しく解説しています。
「両足に均等に立つ」が全員の正解ではありません
以前は、「両足へ均等に体重を乗せましょう」「つま先と膝の向きをそろえましょう」といった“正しい形”を細かく意識することが大切だと考えられることもありました。
しかし、膝の変形や可動域、股関節や足首の状態は一人ひとり違います。全員がまったく同じ立ち方・歩き方を目指す必要はありません。
無理に形を整えることで身体へ力が入りすぎたり、かえって痛みが出たりすることもあります。
そのため、ねこひげ整体院では、見た目の形を無理に直すより、痛みを強くせず、身体全体を使って安定して動けているかを大切にしています。
階段では体重だけでなく「どう支えるか」も大切です
階段の上り下りは、体重を支えながら片脚で身体を持ち上げたり、下ろしたりする動作です。
そのため、膝だけでなく股関節や足首の動き、お尻や太ももの働き、身体の重心移動なども関係します。同じ体重でも、膝だけで頑張る動きと、身体全体を使った動きでは負担のかかり方が変わります。
階段で特に膝が痛い方はこちらも参考にしてください。
ねこひげ整体院では「体重だけ」を原因にしません
ねこひげ整体院では、「痩せれば膝は良くなります」とも、「体重は関係ありません」とも考えていません。
医療機関で診断された膝の状態を踏まえながら、膝の曲げ伸ばし、股関節や足首の動き、筋肉の使われ方、左右への体重のかけ方、立ち上がり・歩行・階段などの日常動作を確認します。
そのうえで、
ゆるめる → うごかす → きたえる → おしえる
という流れを基本に、今の身体に必要な部分を見直していきます。
体重を減らすことだけをゴールにするのではなく、今の身体で、できるだけ無理なく立つ・歩く・動くことを続けられる状態を目指すという考え方です。
体重管理と運動は「どちらか一つ」ではありません
変形性膝関節症では、状態に応じて体重管理と運動療法の両方が検討されます。
体重管理が必要な方は無理のない範囲で取り組みながら、膝の状態に合わせて身体を動かし、筋力や関節の動きを保つことも大切です。
極端な食事制限をしたり、「痩せるまでは運動できない」と考えたりする必要はありません。その方の年齢や体力、膝の状態によって適した方法は異なるため、必要に応じて医師や管理栄養士などの専門家にも相談してください。
このような症状がある場合は医療機関を優先してください
膝が急に大きく腫れた、熱を持って赤くなっている、転倒やひねったあとから強く痛む、膝が引っかかって伸びない・曲がらない、体重をかけることが難しい、安静時にも強い痛みが続く、といった場合は注意が必要です。
このような場合は、「体重のせい」「身体の使い方のせい」と自己判断せず、まず医療機関で膝の状態を確認してください。
まとめ|体重も大切。でも体重だけを責めない
膝の痛みがあると、「自分が太っているから悪いんだ」と考えてしまう方もいます。
しかし、膝の痛みは体重だけで決まるものではありません。体重に加えて、膝関節そのものの状態、筋力、股関節や足首の動き、活動量、日常の身体の使い方などを一緒に見ることが大切です。
体重管理が必要な方は、無理のない範囲で取り組む。それと同時に、今の身体でどう動いているのか、どうすれば膝だけに負担を集めにくくできるのかにも目を向けてみてください。
「痩せるまで何もできない」と考えず、今できる身体づくりから始めていきましょう。

